「公共施設のZEB化と防災機能強化」について(2回目/全3回)
株式会社IES
https://www.ies-japan.co.jp/
シニアコンサルタント 栗木恭二
Mail:kuriki@ies-japan.co.jp
「公共施設のZEB化と防災機能強化」について(2回目)
第2部:空調設備だけでは限界が?――「建物に入ってくる熱」を抑えるという発想の転換
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1.「エアコンを入れれば解決する」という誤解と現実の壁
避難所の暑さ対策を検討する際、多くの自治体担当者がまず思い浮かべるのは「大型エアコン(空調設備)の設置や稼働強化」です。もちろん、国や自治体の補助金なども活用しながら、体育館への空調設備導入を進める動きは全国的に広がっています。
しかし、いざ空調設備を導入・稼働させようとする現場では、以下のような複合的な課題に直面しています。
・大空間ゆえの冷房効率の悪さ: 体育館などの大空間は天井高が高く、体積が非常に大きいため、一般的な空調設備では冷気が行き渡るまでに時間がかかり、設定温度に達するまでに膨大なエネルギーを消費します。
・莫大なランニングコストと電力負荷: ピーク時に全館の空調をフル稼働させた場合、自治体の施設管理予算を圧迫するだけでなく、地域の電力供給インフラへの負荷も無視できません。
・災害時(停電時)の脆弱性: 万が一、災害によって大規模停電が発生した場合、非常用発電機やポータブル電源のみでこれら巨大な空調設備を維持稼働させることは極めて困難です。電源が落ちた途端、室温は瞬時に跳ね上がることになります。
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2.「中を冷やす」から「熱を入れない」へのパラダイムシフト
これらの課題を根本から解決するためには、アプローチの順序を転換する必要があります。すなわち、「建物の中をどう冷やすか(排熱・冷却)」という川下の発想から、「そもそも建物の中に熱を入れない(遮熱)」という川上の発想への切り替えです。
夏季、公共施設の屋根は太陽からの強烈な日射エネルギーを直射日光として受け止め、屋根表面の温度は時に60℃〜70℃以上にまで上昇します。この高温化された屋根から放射される「輻射熱」が天井を通じて建物内部へ伝わり、室温を絶えず押し上げ続ける熱源となっています。
【従来の熱流入メカニズム】 太陽光の日射 ➔ 屋根表面の激しい温度上昇(60℃超) ➔ 建物内部への大量の熱負荷 ➔ 室温急上昇・空調負荷の増大
この「屋根からの熱負荷」そのものを遮断・抑制することができれば、建物内部へ侵入する熱量を劇的に減らすことが可能です。屋根の表面温度70℃を45℃程度に低下。
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3.遮熱対策がもたらす相乗効果
屋根に適切な遮熱対策(遮熱塗料の塗布など)施すことは、単なる夏の暑さ対策にとどまらず、施設運営において次のような多面的なメリットをもたらします。
1.室内温度の上昇抑制: 屋根からの輻射熱をカットすることで、空調を稼働させない状態でも天井付近からの熱放射を抑え、室内の最高気温の上昇をマイルドにします。
2.空調負荷の劇的低減: 冷房稼働時の初期負荷と消費電力が抑えられるため、省エネ性能が向上します。
3.非常時のレジリエンス向上: 停電時や非常用電源での限られた電力運用時であっても、建物自体の断熱・遮熱性能が保たれているため、室温の急激な上昇を防ぎ、避難者の生存環境を維持しやすくなります。
4.平常時の環境改善とコスト削減: 災害時だけでなく、夏季のスポーツ活動や地域行事、文化活動で体育館等を利用する市民の熱中症予防になり、平常時の電気代削減(省エネ)にも貢献します。
4.一般企業での屋根への遮熱対策が進む理由
①厚生労働省からの熱中症対策指導強化。罰則規定。
②職場環境改善による人材の確保。人材不足。
③昨今の温暖化による工場内の高温対策。
④空調設備への投資は、CO2削減につながらない。
⑤屋根からの熱源を遮ることを優先させることが省エネに有力。
⑥初期投資はかかるが、電気代やメンテナンスコストも不要。LCC対策。
⑦屋根への施工にて、工場内の稼働を止めることがない。
⑧遮熱塗料を塗る際に、屋根の修繕を行い、建物の保全強化につなげる。
⑨揮発性塗料よりも環境に優しい水性塗料を選択する。
⑩電気代のコストカット(10%~30%)電気代の高騰対策。
など、空調機などへの更なる投資をする前に、輻射熱を建物内に入れない屋根への遮熱対策を優先する動きが活発化している。
事例③:製造業の事例動画(2分程度)
住宅建築資材の製造業様
業種柄、空調設備を導入できない職場環境下で、熱中症のリスクに悩まされていた。
屋根への遮熱塗料の施工後、前年比、腰高で室温5℃の低下が確認でき、職場環境が大きく改善した。生産性向上にも寄与できる。
雨漏り修繕+遮熱塗料施工事例
