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2026.9.25

「公共施設のZEB化と防災機能強化」について(3回目/全3回)

株式会社IES

https://www.ies-japan.co.jp/

シニアコンサルタント 栗木恭二

Mail:kuriki@ies-japan.co.jp

 

「公共施設のZEB化と防災機能強化」について(3回目)

 

第3部:避難所×ZEB化を見据えた、既存施設を活用したこれからの防災・省エネ戦略

1.公共施設の「ZEB化」と「防災機能強化」を一体で捉える

現在、国(環境省・国土交通省など)の主導のもと、多くの自治体で公共施設の脱炭素化、とりわけZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化の推進が求められています。庁舎や学校、公民館、福祉施設といった公共建築物は、地域全体のエネルギー消費において大きなウェイトを占めており、カーボンニュートラル実現に向けた模範を示すべき存在だからです。

しかし、自治体の施設担当者様からよく聞かれる声として、「ZEB化や脱炭素化と、防災・避難所対策は、それぞれ別の事業・予算としてバラバラに動いている」という現状があります。

ここで視点を変えてみましょう。公共施設に求められる「脱炭素(省エネ)」と「防災(避難所環境の改善)」は、決して対立するものではなく、「建物外皮(屋根など)の性能向上」という一つの施策によって同時に達成できる双子の目的なのです。

 

2.すべてを建て替えることはできない――「既存施設ストックの有効活用」

新築の公共施設や大規模な改築においてZEBを目指すことは比較的容易ですが、日本全国にある数多くの既存公共施設をすべて解体・新築することは、財政的にも物理的にも不可能です。限られた予算の中で、築年数が経過した既存の体育館や学校、公民館の価値をどう高めていくかが、今の自治体経営における最大の課題となっています。

すべての施設を一斉に大規模改修することはできなくても、屋根の改修や遮熱塗装といった「外皮対策」であれば、比較的短期間かつ現実的なコストで実施可能です。これをZEB化の「第一歩(入口)」として位置付けることで、段階的な省エネ・脱炭素化と防災力強化を同時に進めることが可能になります。

 

3.自治体担当者が直面する課題をクリアする「5つのチェックポイント」

施設管理、防災、環境政策、財務・管財といった複数の部署にまたがるプロジェクトとして検討を進めるため、以下の5つのチェックポイントを庁内検討の材料としてご活用ください。
 ・CHECK 01:ZEB化・省エネ化のロードマップ上の対象施設はどこか?

◦市が管理する体育館、学校、公民館、文化施設などのうち、優先的に環境改善を図るべき施設をリストアップできているか。

 ・CHECK 02:その施設は、地域防災計画上の「指定避難所」として位置づけられているか?

◦単なる公共施設ではなく、災害時に多くの市民が避難してくる重要拠点であるか。

 ・CHECK 03:夏季の室温・空調負荷・熱中症リスクに具体的な課題がないか?

◦過去の夏季利用時において、利用者や管理者から暑さに関するクレームや熱中症の懸念が寄せられていないか。

 ・CHECK 04:屋根の遮熱対策による「建物外皮からの熱負荷削減効果」を見込める構造か?

◦対象施設の屋根材(折半屋根、スレート屋根など)の形状や現状の劣化状況が、遮熱対策に適しているか。

 ・CHECK 05:大規模改修や屋根の防水・修繕工事のタイミングと統合できないか?

◦単体の工事としてではなく、将来的な修繕計画や長寿命化計画と連動させることで、トータルコストを最適化できないか。

 

4.遮熱塗料の選定チェックポイントとは

遮熱塗料は現在約180アイテムが存在している。何を選べばよいのか。

①・先ずは、環境に優しい「水系」を選択

VOC(揮発性有機化合物)含有量は、溶剤系塗料(684g/L)に比べの水性塗料(107g/L)と
1/6程度。欧米では溶剤系塗料は規制強化の対象。地球のオゾン層を破壊します。

②・JIS認証製品(JIS K 5675)選択  国が認めた厳しい基準をクリアーした製品

BELS建築物省エネルギー性能表示制度の評価方法ルールとして

「屋根用塗料として長期間、過酷な環境に耐えれるのか」という総合的な品質が審査されます。

ZEBプログラムでは、屋根の「日射吸収率」は標準時0.8として計算されます。JIS規格を満たした遮熱塗料は日射吸収率の数値を下げる(0.5~0.3)設定に変更でき、省エネ効果として算入できます。経年劣化を考慮した計算も必要。塗った直後の最高性能ではなく汚れを考慮した補正後の日射吸収率など。

③・国際特許技術のセラミックス

特殊ナノセラミックスが近赤外線を電磁波散乱で高反射する。放熱塗料。

④・価格の優位性

厚塗り塗装から脱却し、薄膜で高性能を実現することにより、材料使用量が他社比較で1/2以下とハイコストパフォーマンスを実現。

⑤・取り扱い企業は限定:高い技術が必要

この特別な遮熱塗料を取り扱える企業は、全国対応可能な、数少ない認定施工店に限られます。

 

5.結びにかえて:まずは「施設の可能性を確認する」情報交換から

公共施設のZEB化や、指定避難所の暑さ対策を検討するにあたり、「何から手をつければよいか分からない」「うちの市の古い体育館に本当に効果があるのか見当がつかない」といったご不安の声は少なくありません。

私たちがご提案したいのは、いきなり大規模な工事や高額な施工を前提としたアプローチではありません。まずは、「対象となる施設の屋根や建物状況を客観的に確認し、遮熱対策を行うことが、その施設の省エネおよび避難環境改善においてどのような意味を持つのか」という可能性の検証(情報整理)から始めることです。

「この指定避難所に遮熱対策を行うことで、どれくらいの熱負荷が軽減できるのか」 「将来的なZEB化や空調効率化の文脈において、どのような費用対効果が期待できるのか」

施工を前提としない、純粋な検討材料・情報提供として、指定避難所の暑さ対策や公共施設の省エネ化に関する情報交換を行ってみては如何でしょうか?

貴庁の防災力向上と脱炭素・ZEB化の推進に向け、まずは一度、情報共有の場としてお気軽にお声がけください。

 

6.自治体が検討する際のチェックポイント

行政担当者様向けに、具体的な検討項目は以下の通りです。

チェック①指定避難所の屋根材・屋根面積

チェック②築年数・屋根の劣化状況

チェック③夏季の室温・空調使用状況

チェック④大規模改修・屋根改修の予定

チェック⑤年間の電力使用状況

チェック⑥災害時の空調・非常用電源の状況

などをチェックしてください。

 

7.課題等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

株式会社IES 担当:栗木 Mail : kuriki@ies-japan.co.jp 直通:080-5314-3769

 

以上